今月のいちおし!2月

「わたしたちの世代は」

著者 瀬尾まいこ
発行 文藝春秋社 1,870円(税込)




福壽みどり

 この本は、コロナ禍に小学生時代を過ごした子どもたちが20代を迎えたという設定で書かれている。

 さて、わたしは何世代?かというと、団塊ジュニア世代で就職氷河期世代。闘う人数もむちゃくちゃ多いのに経済は冷え込み…なんて、最悪の世代じゃないですか。といいつつ、傍からみれば、順風満帆とは言えないまでも、まーそこそこに歩んできたように見えるかもしれない。でも、このお話を読みながら、それぞれに抱えているものってみえないし、それが、その人にとってどれくらいの意味をもつかもわかりづらい。つまり、周りが判断できることではない。私にも、私なりの、私にしかわからない痛みがある。

 「そのことに意味があった」「それがあったから今の自分がいる」。そうかもしれないけど、きっとないほうがよかったであろうことがほとんどだ。それとも、それがなければ、ほかの痛みがあったのかもしれない。痛みのなかにも楽しみ、おかしみはあるのだと思う。だから、痛みは痛みとして抱えながら、それも大事にして、前を向いて生きていくんだなということを、改めて学んだ。

 

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