世界経済フォーラムが公表している直近のジェンダーギャップ指数(2024年)によると、日本は146か国中118位に沈んでいる。そんなデータを出すまでもなく、地域で感じることは多々ある。私が暮らす地域では、例えば、公民館の運営委員会の委員が全員男性(女性の方が公民館を利用する人が多いのに…)、地域で暮らす高齢者に弁当を配るボランティアには女性しかいない、集落の清掃活動で草刈り機を使うのは自動的に男性となっている(女性が使っているのを見ることもあるのに)、…などなど。女性の役割はこれ、男性の役割はこれ、という意識が深く、深く根付いているのを感じる。どうしてそうなったのか。
本書では、ジェンダーによる差別がどのように形作られてきたのかを時代をさかのぼって紐解いていく。ジェンダーによる差別、つまり女性差別は家父長制が土台になっており、この家父長制は西洋と日本では異なる経緯をたどって成立してきた。そのため、アメリカなどで「ガラスの天井」と表現される見えない障壁が、日本では「土の壁」のように現れていると説く。
歴史的な経緯があり、日本の社会に深く、深く根付いている女性差別。長い年月をかけ、様々な影響を受けながら根付いたからこそなかなかなくせていないが、もともとあったものではなく作られ、維持されているものだということもわかる。であれば、なくせるはず。誰に維持されているのかといえば男性であるので、何が必要か考え、どう行動するのか、男性が問われていると感じた。
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