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サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福(上下巻)

著者 ユヴァル・ノア・ハラリ

翻訳 柴田裕之

発行 河田書房 




衣笠尚貴

本書では、何億人もの人々が共存する社会の土台となるものは「想像上の秩序」であるという。見知らぬ人どうしが協力し合い、社会を成り立たせていくためには、「共通の神話」が必要とされ、ハンムラビ法典やアメリカ合衆国の独立宣言がその例として挙げられる。

数えきれないほど多くの人々が定められた原理のもと行動することで、「公正で繁栄する社会で安全かつ平和に暮らせること」が約束される。方や2つの性と3つの階級(上層自由人・一般自由人・奴隷)に人を分けるハンムラビ法典と、「万人の平等」を説く独立宣言には大きな違いがあるのだが、社会の混乱を防ぎ、破滅的な衝突を防ぐ機能を果たしてきた。しかしながら「万人の平等」を謳った独立宣言でさえ、黒人やアメリカ先住民、女性の権利を意味してはいなかった。

1948年に基本的人権のリストであり、国際的な人権保障にとっての最重要文書である「世界人権宣言」が国連で採択され、その後もいくつもの人権条約が採択さされてきた。いずれもどこかに正解があるものではなく、現在進行形で発展し続けているものだ。

出自や性別、ジェンダーや人種や肌の色による差別など、過去に作られた想像上の秩序を乗り越え、上書きしていくことの必要性を考えさせれる。今後わたしたちはどんな秩序を作り上げていけばよいのだろうか。

 

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