センター職員の今月のいちおし(1月)

新聞記者

著者 望月衣朔子

発行 KADOKAWA(800円+税)





衣笠尚貴

 本と同タイトルで映像化された映画「新聞記者」。県内でも上映されていたのだが、タイミングが合わず見ることがかなわなかった。先日ようやく視聴。作品には映像作品ならではの物語の描写も。だが、ここで言及することは避ける。映画視聴後、どうしても読みたい思いに駆られていた本の著者は、官房長官の会見で質問する姿が話題となった新聞記者である。

 本の中に何度も登場するように、著者は「目指しているのは、隠そうとしていることを探り、明るみに出すこと。それは今も変わらない私の記者としてのテーマ」を心情にしている。幼い頃は女優になりたいという夢をもち進んでいたそんな著者がなぜ新聞記者をめざすようになったのか。そこにつながる幼少期の姿や、家族関係も綴られている。

 著者が新聞記者として期せずして注目を集めるようになったことで、官房長官会見を意識するようになった人も少なくないかもしれない。

 「私は政権や官邸へとつながる、唯一のドアをノックできる環境にいる。このことを幸せに感じるし、やらなくてはという思いがさらに強まっている。」と語る著者。いろんな見方や考え方、賛否両論あるのかもしれないが、著者が取材した数々の事件やインタビュー記事の記述をみると、私たちに知らされていない真実も山のように存在することが分かる。

 メディア報道がいろんな意味で注目されている現代。私たちが世の中のことに少しでも疑問をもったり、関心を抱いたりすることが、当たり前のことが当たり前になされる世の中をつくる原動力となるのかもしれない。

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