センター職員の今月のいちおし(7月)

悲しみの子どもたち−罪と病を背負って


著者 岡田 尊司
発行 集英社新書 900円+税




田中 澄代

 

少年犯罪の低年齢化と凶悪化は大きな社会問題として取り上げられてきた。

医療少年院で精神科医として勤務している著者が、彼らと向き合い、関わりをとおして異常な行動の根底にある問題に迫っていく。非行少年のさまざまな特性やタイプを「多動型」「依存型」「境界型」「自己愛型」「回避型」などに分類し分析している。

ここへ来る少年たちの多くは、幼いころに虐待を受けて育っており、加害者とも被害者とも言える。少年非行と虐待とは密接な関係があるようだ。

子どもを無条件に愛せない、つまり大切にできない親が増えている。そして子どもは「捨て子心理」にとらわれていく。やがて無反応になり、ひきこもりの状態に陥るという。イコール非行とか犯罪ではないにしろ、そうなる危険が増すという。

高価なものを与えることでもなく、豪華な食事をすることでもない。子どもは無条件に愛されること、無条件の愛で満たされることで自分の存在価値を感じるのであろう。

6月19日、児童虐待防止法と児童福祉法の改正案が可決され、成立した。地域の子育て支援や児童虐待への的確な対応が必要であり、一時保護などの介入や家庭の支援など、体制強化が期待される。

 親も子どもも孤立することのない社会となるよう、気づいたら目を背けない1人でありたい。

 

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