2015年2月20日、13歳の少年が、全身43カ所をカッターで切られ、血だらけになって23.5メートル這い、息絶えた。マスコミでも大きく取り沙汰された「川崎中1男児生徒殺害事件」。「カミソン」と聞けば、記憶が蘇る人は少なくないであろう。 あれから3年。加害者の少年たちの刑は確定し、被害者の家族は身元を隠して、異なる地でひっそりと暮らしているという。 なぜ、上村遼太くんが殺されなければならなかったのか…。運が悪かったのか…。深層は未だにわからないこともあるが、それだけではないと思えてならない。 家庭や学校に居場所をなくし、近しい人との関係を頼りにしていたのは加害者の少年たちばかりでなく、その周りにいたメンバーたちも同じ。それぞれが毎日のようにスマホゲームやアニメの話題に盛り上がり、公園で明け方までともに過ごしていた。 しかし、そこには信頼関係というものが構築できず、暗黒の底へと転がり落ちてしまったのだと、著者は言う。 後を絶たない未成年者による事件。この事件から学ぶのは、社会や家庭からこぼれ落ち、苦しみを抱えながら街をさまよう人たちを孤立させないための、社会的セーフティーネットの構築が必要であるということではないだろうか。被害者も加害者も出さないために。 |