絶望のどん底から、ゆっくり長い時間をかけて向き合い、忘れながら少しづつ光が見えてくる。中学生のころ父親は心筋梗塞で急逝し、母親と弟の3人家族。高校1年生の時に母親が倒れ、下半身の感覚をすべて失う。そののち母親は一生車いす生活となる。4歳下の弟はダウン症で知的障害がある。
彼女は「忘れる才能」を身につけていった。カメラマンの幡野広志さんとの出会いでは、「家族は選ぶことができる」ことを学んだ。選び続ける勇気ということを。生まれてくるときに、親を選ぶことはできないが、パートナーを選ぶことはできる。家族であれ、自分に良い影響を与える人の存在は自分で選べばよいことも…。
大学生の時に、株式会社ミライロの創業メンバーになった。ミライロを辞めて作家になった彼女は、また新しい光をめざして進んでいる。幡野さんは、彼女に良い影響を与える存在の1人だった。
忘れることも必要だが、辛かったことを全て忘れていいわけではない。と私は思う。忘れてしまいたいことと、辛くても忘れなくてよいこと、これを上手く取捨選択できることが、言葉を借りると「忘れる才能」を活かすことだろう。
著者の言葉や発想に何度も“なるほど~””と思わされる。ミライロの企業理念『バリアバリュー』も目から鱗だった。また幡野広志さんの著書も興味深い。 |