絵本「ヤギと少年、洞窟の中へ」
作 池澤夏樹
絵 黒田征太郎
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発行 スイッチ・パブリッシング 1980円 |
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8月15日は終戦の日です。
沖縄県では、6月23日を沖縄戦犠牲者の霊を慰め世界の恒久平和を願う日として「慰霊の日」として沖縄県条例で記念日として定めています。
沖縄戦では、連合国軍と日本軍を合わせて20万人以上の犠牲者が出たといわれています。そのうち、一般の犠牲者は推計で約10万人です。沖縄県民の4人に1人が命を落とした壮絶な戦いで、甚大な被害がありました。
この絵本「ヤギと少年、洞窟の中へ」は、沖縄戦で亡くなったひめゆりの生徒に捧ぐ絵本として、沖縄のガマ(洞窟)をテーマに暗い洞窟の中で命を落とした人々の悲しみを、一人の少年の視線を通して伝えます。
黒い絵のページが続きますが、ヤギのビンギに導かれてガマを出たとき、外は眩しく明るいページとなります。
さらに巻末では、後に「ひめゆり学徒隊」と呼ばれる、看護要員として沖縄陸軍病院に動員され、沖縄戦で亡くなった師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒たちの名前を紙碑として刻みます。
忘れてはいけない平和への願いを絵本にされている見ごたえのある一冊です。