今月のいちおし!11月

子どもも自分もラクになるどならない「叱り方」

著者 伊藤徳馬
発行 ディスカバー・トゥエンティワン 1,650円(税込)




田中澄代

 子育てをした多くの人は、子どもが言うことを聞かない時などに「イライラしたらまず深呼吸!」と言われたことがあると思います。が、そうそう簡単にいかず、自分の中で葛藤しながらとってしまった行動や、言葉に後悔した経験がある人は少なくないでしょう。私もその一人です。

 本書は、日常の子育てでおこりそうなことの事例をもとに、深呼吸をしながら、どならずに「叱る」方法をゆるく練習して、生活に活かすという実践本です。もちろん正解はありません。青カードと赤カードを使って、なるべくどなることを回避できるように練習します。「気持ちを理解する(共感)」「代わりの行動」「一緒にやってみる」を基本に、自分ならどうするのか考えます。

 最近は、怒るべき場面で上手に怒り、怒る必要のない場面では怒らなくて済むようにトレーニングする方法や、怒りを区別し、自分が主体的に感情を選択できるようなスキルを身につけるアンガーマネジメントも注目されています。

 答えのない子育ての中で、これでもいいんだと前向きに思えること、実際に子どもをどなることなく対応できた時には、自分を認めることも大切です。

 あの頃出会っていたら、もっとゆるく力を抜いて子育てに向き合えたかもしれないし、感情のコントロールもできたのではないか、そして違う「叱り方」ができたのではないかと思いを巡らせながら、子育ては終わっても、これから先に介護をすることになった時、基本は同じなので活かしていきたいと考える時間でした。

 

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