ただいま第〇次(わからないのであえて〇。)読書ブーム。秋だからなのか。とにかく多読。初めて読む作家もアレコレ。この作者の本もつい少し前「ツミデミック」を読んだところだったのに、同じ作者とは考えず手に取り、後で知った。
帯には「恋愛小説」と書いてある。いや、たしかに恋愛をとおしているんだけれど、これは「人間小説」だ。“プロポーズされた翌日、恋人が盗撮で捕まった。”という設定。詳しいことは、ぜひ読んでほしいので詳述しないが、「盗撮」という性犯罪をどう感じ、どう断じるかは、加害者、被害者、そしてそれぞれの家族も、その関係性によって変わってくるし、そのうえ、そのそれぞれをさらに取り巻く周囲、社会(世間)、本当に一人ひとりちがう。加害者とその婚約者を基軸にしつつ、その周囲の人々もそれぞれに抱える痛みと、その向き合い方、一人一人のずるさが描かれる。「ヒトってややこしい」とあらためて気づかされつつ、「自分にもそういう部分があるな」ということに嫌悪感を覚えたり、愛おしさを感じたり。“自分らしく幸せに生きること”って、シンプルと思っていたけれど、なかなかに複雑で、一人きりで生きているのではなく、社会の中で生きているからこそ、楽しくて、苦しい。 |