センター職員今月のいちおし!12月

追体験型写真展 “My Storys

~部落につながる「私」たちから見える景色~

田川朋博

 1119日、福岡県人権啓発情報センターの特別展を“体験”した。この写真展は、「部落」に関わる様々な立場のメンバーが、部落「問題」に限らず、人、文化、仕事など、部落に関係する様々な物事の情報発信を目的として活動している「BURAKU HERITAGE」の皆さんの協力により実現したという。

 その特徴は“追体験型”ということ。会場には、部落に向き合ってきた8人の方の幼少期、学生時代などの写真が展示されており、その時に感じたことなどが書かれたシートが置かれている。参加者は会場に入るとくじを引き、くじに対応した8人のうちの誰かのこれまでの人生を、写真とストーリーを通して追体験していく。

 8人の方の中には、被差別の立場にない人もいる。当事者のすべてが結婚したい思っているわけではないので、一様に結婚差別を取り上げるのはどうかという思いから、結婚していない人も登場する。その他にも、自分が被差別の立場にあるといつ伝えられたか、逆に自分の子どもに伝えたかなど、当事者の中にも多様性がある。そういうリアリティーを体験してもらいたいという思いがあったという。

 私が体験した方は、たまたま私と同い年だった。私と同じことを感じたんだろう、しかし、私が考える必要のなかったことを考え、向き合ってきたんだろうなどと考えながら、その方のこれまでの人生の歩みをふり返る、そんな感覚だった。

福岡県人権啓発情報センターでは、今後パネルの貸し出しも行われるという。機会があれば、部落に向き合う人々のリアリティーをぜひ“体験”してみては?