今月のいちおし!8月号

「大学教授、発達障害の子を育てる」

 



著者:岡嶋裕史

光文社新書 1034円

福壽みどり

 「こうなりたい」「こんな世の中が望ましい」。理想はあったほうがいい。でも、一足飛びに理想が実現するわけではないので、本当に大切なのはその過程、「今」「ここ」だ。だけど、私は、すぐに理想を夢見てしまう。そして、そのために進みたくなる。「どうしてすぐにしないの」と声を大きくしたくなる。それぞれが抱えている課題は違うのだから、箱だけつくって、みんなをおしこめれば解決するわけではない。それは、わかる。もちろん、お互いを知り合うことができるというメリットはあるけれど。でも、それが「最悪」の出会いにならないよう、「すれちがい」にしてしまわないように、できることはなんなのか。そんなことを考えた。

 そして、もうひとつの収穫。私は、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」が苦手だ。ずっと、なんでかなーと思っていたけれど、その答えがみつかった。ひょんなところから見えた、私の「自分らしさ」。「人狼」や「ダウト」が苦手なのもきっと通じるところにちがいない。

 自身も発達障害の大学教授岡嶋さんが自らの成育歴とからめて、双子のお子さんのひとりが発達障害と診断されてから今日までの日々を赤裸々に、まじめに、楽しく描かれています。

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