今月のいちおし 5月

ふわりとつつんで

むそうからの報告その1

企画・製作 えにし屋

  3,000円(税込)

 


 

澤田みどり

 

このビデオを知ったのは、「べてるの家」のホームページでした。お勧めビデオとして紹介されている文章に目が留まり、購入しました。

どんなに重い障碍があっても最後まで地域で暮らすことを支援するために、戸枝さんは、社会福祉法人むそうを立ち上げました。

「障碍が重くても、その人なりの頑張りができる環境が用意されるといろいろ頑張れる。彼らが能力がないとか、存在自体が無益だというのは、チャンスをもらえていないだけのこと。それは違うんだ、ということを多くの人に見てもらいたい。」

むそうは、障碍のある人の可能性の展示場として、アートスクエアというギャラリーをつくりました。そこは一般の人が展示会を開くこともできる場です。そして開催中には必ずワークショップを開いてもらい、交流の場を設けています。アートスクエアには雑貨屋もあり、そこでは他の商品と混じって作業所で制作した商品も売られています。また隣接する“女性一人でも気軽に入れる”ラーメン屋では、接客、調理など障碍のある人が行っています。アートスクエアは、展示会を見るため、買い物するため、食事するため、とたくさんの人が訪れる場で、障碍のある人と一般の人の出会いの場となっています。

むそうでは、障碍のある人が働くとき、そのひとのこだわりに徹底的にこだわります。すると思いもしなかったことが起こります。専門書に、自発的に他人に働きかけることがないと書かれている自閉症の人が、こだわりに合致した仕事を続けることで気持ちが安定し、自分から周囲に話しかけるようになったというのです。だれにでも輝くチャンスが与えられる社会になるといいなと感じました。

障碍を持っていても幸せに生きるのではなく、障碍を持ったまま幸せに生きる。監督の言葉に、また納得。いいビデオに出合わせてもらったと「べてるの家」に感謝。

その「べてるの家」の講演会を、“精神障害者の当事者研究”というテーマで、816()に開催します。こちらにも、どうぞご参加ください。

 

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