今月のいちおし!4月

もっと知りたい ささやかな願い





椋田昇一

 「イラン カラ プテ」、あなたの心にそっとふれさせてくださいという意味で、昼夜をとわないアイヌ語のあいさつの言葉。
 “鳥取に飛んで行きたいが88歳のバーさんには無理、みなさんが足を運んでくれるのを待っています”とは、「ライツ」既報の玉城しげさんのお便り。行かずにはいられなかった、九州ひとり旅。
 久々にたっぷりと時間を得て読み通した何冊かの本。年末に知人が送ってくれた「ハンセン病療養所入所者 語り部覚え書」(阿部はじめ著)にもようやくたどり着いた。今年は、「癩予防ニ関スル件」が公布されて100年になる。そして今、「長生きをしたら、将来が心配だから、早く死にたい。」という療養所入所者の声が響く。
 旅に立つ前に別の知人が贈ってくれた「アイヌの碑」(萱野茂著 朝日文庫)。本田勝一は「これは”本”ではない。”声”そのものだ。」と絶賛している。ニ風谷アイヌ文化資料館をつくり、アイヌ民族の文化伝承に努められた萱野茂さん。アイヌ初の国会議員であった当時、第3期鳥取市解放大学にお迎えしたのが、ついこの間のようである。もうすぐ1周忌を迎える。
 先月亡くなった植木等の著作「夢を食いつづけた男~おやじ徹誠一代記」(朝日新書)もお薦め。五木寛之が「すべての人びとの心のどこかにひそむ、意識されざるあこがれなのではあるまいか」という生き方、その「林住期」(幻冬舎)を今読みふけっている。

 

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