今月のいちおし!6月

条例のある街
障害のある人もない人も暮らしやすい時代に

著者 野沢和弘
    (毎日新聞社会部副部長)
発行 ぶどう社 1700円+税




福壽みどり

 この本は、日本で初めて障害者への差別をなくす条例をつくろうとした人々の物語です。
 「まず精神科へ行って、受診できるようになってから来なさい」「この子のことはあきらめて、もうひとり産みなさい」「こんな子に薬を出しても無駄だ」「バカがまた来た」「福祉の世話にならなければ生きていけない価値のない子」。
 これらの言葉は、障害のある人たちが、実際に医療現場で投げかけられた言葉です。
 2006年10月11日、千葉県議会で、全国初となる障害者への差別を禁止する「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が成立しました。7月1日、まもなく施行されます。その歴史的な意味を多くの人に知ってほしいと願ってこの本は書かれました。
 野沢さんは言います。「この条例は障害者のためのものだが、決して障害者のためだけの条例ではない。同時代に生きる人々がそれぞれの違いを認め合い、多様性を楽しむのが、これからの成熟社会のあり方だと思う。その先駆けとなるべき条例をつくろうと、障害者や家族が立ち上がったのである」。
 新聞記者として、障害のある子の親として、千葉県「障害者差別をなくすための研究会」座長として、さまざまな角度からこの本を書かれた野沢さんが、鳥取市人権情報センター障害者問題研究部会にいらっしゃいます。条例成立は知っていたけれど、どんなものかわからないという方、鳥取でも条例をつくりたいと意気込んでいる方、本には書ききれなかった野沢さんの熱い思いを聴きに、7月25日(水)18時30分、ぜひお越しください。

 

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