今月のいちおし!!2009年3月

今、親に聞いておくべきこと

上野千鶴子 監修
 新潮社 (1200円+税)




田中澄代

 

自分の親のことって、けっこう知っているつもりだけど、よく考えてみると以外と知らないことが多い。そんなことを改めて考えることができた。

親と離れて暮らしたい時期、そして妙に親がこいしくなった時期を過ぎ、今は、年老いていく親のことが段々と心配になっている。私自身も歳をとったせいなのか。そうは思いたくないのだが。

今まで、親子であっても聞きにくいことがあった。そこまで突っ込んでいいのだろうか?親子だからこそ、遠慮してしまうこともある。そんな時には、きっとこうだろうと、私流に解釈していた。しかし、親子だからと親しいだけに強引に聞こうとしたこともあった。

この本で学んだことは、親子であれ親がお墓まで持っていくと心に決めていることがあったら、そこには触れない節度を持つ事が大事だということ。自分にも話せないことがあるように、親にも子どもにも踏み込まれたくないことがある。これは、親子関係に限らない。親しい関係だからこそ、そっとしておくことがマナーだったりもする。簡単なようで、すごく難しいことだが、良好な関係でいられるということは、そういうことなのかもしれない。

見極めは大事だが、今しか聞けないことは聞いて、1人の人としての親の姿を知っておきたいと思う。それは、今までみえていない自分自身を知ることでもある。慌ただしく日々が過ぎていく今、ほんの少しずつでも、ゆっくり向き合う時間をつくりたい。後悔しないためにも。

 

 

機関紙「ライツ」見出しへ戻る