今月のいちおし!!2009年6月

世界一あたたかい人生相談―幸せの人生レシピ

発行 ビッグイシュー日本




坂根 政代

 

 ちょっと、いつもと違う紹介になってしまいますが、いま読んでみたい本です。

 月刊『ヒューマンライツ』5月号に掲載されている「グーグル・ストリートビュー何がどう問題なのか」を読み、さらにページをすすめていき、この本にめぐりあいました。

ビッグイシューは2003年大阪で創刊され、「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」ためにつくられた雑誌です。ホームレスの人たちが販売し、定価300円のうち160円が販売者の収益になっています。そのビッグイシューの人気コーナー「ホームレスの人生相談」をまとめたものがこの本です。

 「仕事がつまらなくて、すべてがむなしい」という20歳代の女性に、ある販売者はこう答えています。“本当は、相談に答えるような立場じゃないんです。僕の人生は、全部挫折してきて大阪・西成にたどりついたわけですから。兄弟や家族、親、全部捨ててきた。その時に人を愛することをやめたんです。友達もつくらず、十何年間生きてきた。愛することがないから、愛されることもなかった。でもね、ビッグイシューに出会って、スタッフやいろんな人に出会って、変わったんです。人を愛すれば、人を好きになるし、その人たちがいる街も好きになれる“

 買う人が、販売する人に励まされる。やろうとしてもできないこと、悲しみを越えてなお生きようとする力が湧いてくる。「生きていること、そして、人へのぬくもり」が、このビッグイシューにあるからではなかろうか。 人は一人では生きられない。誰かとつながりたいと心の深いところで欲している。出会いから、自分の存在を受けとめられるようになった人の言葉だからこそ、真に伝わってくる。心があたたかくなる、そんなコミュニティづくりが必要だと思った。

〈P.S 嬉しいことに、この『ヒューマンライツ』で、竹内良さん連載のページに、人権情報センター機関誌「架橋」のことが紹介されています。ぜひ、みてね。

 

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