今月のいちおし!!2009年9月

それ、恋愛じゃなくてDVです

著者 瀧田信之
発行 WAVE出版 1400円+税




福壽みどり

 

 まだ若かりし10代の頃、彼氏がいない時期があるのがイヤな頃があった。彼氏がいないと、周囲から「あの人ひとりでかわいそう」と思われてるんじゃないかとか、女としてイマイチイケテナイとか…。今となっては、なんであんなにいつでも彼氏、彼氏と思っていたのか不思議になるくらいだが、たしかにそういう時期を過ごした記憶がある。この本を読みながら、そんなことを思い出した。

 束縛されることや、友だちとの約束より彼氏を優先させることが、幸せな証拠と思ってしまうのはなぜだろう。相手の好みに合わせて自分を変えることを幸せと感じるのはなぜだろう。彼氏より、恋愛そのものより、恋愛している自分、相手に尽くしている自分自身に陶酔しているような、そんな感覚。

 この本では、そんな恋愛中に陥りやすい“「恋人」だから許してしまうあれこれ”に潜む自分自身を傷つけてしまう多くの「ワナ」を、実例をとおして、わかりやすく解説してくれます。

自分自身を振り返ると、たしかに好かれていたい、気にいられたいという思いはあったが、服装だって自分の好みで、相手とのバランスもあんまり考えたことがない。長い髪が好きと言われても、自分の気分で平気で短くする。恋愛中毒症気味ではあったが、恋愛依存症ではなかったと思う。

 「その相手は、ただただ嫌われたくないために、自分を傷つけ、苦しんでまで付き合わなくてはならない人なのだろうか。」こんな風に考えられるようになったのは、私が大人になった証拠だろうか。

 

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