今月のいちおし!!2011年4月

「あたりまえ」を疑う社会学
質的調査のセンス

著者 好井 裕明
発行 光文社新社 740円+税




田川 朋博

 普段何気なく使っている「…があたりまえ」、「普通は…」。その「あたりまえ」や「普通」はだれにとってもそうなのか。自分にとっての「普通」が誰かにとっての「ふつう」とはなり得ないかもしれない。というか、「普通」ってなんだろう?「普通」って誰が決めているんだろう?
 「普通であること」を著者はこう述べている。「私たちが理解不能な出来事と出会ったり、はっきりと何かに違和感を覚えたりするとき、それを自らの日常生活世界から“くくり出す”ための装置だ」。
 自分の中の「普通」を思い返してみる。例えば、「普通の人」。その中に障害のある人はいるのか、外国人はいるのか…。自分の中に「普通じゃない人」や「あたりまえじゃないこと」をつくって、排除していなかっただろうか。自分の中の「普通」や「あたりまえ」を振り返る良い機会になったと思う。

 

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