本の題名は、唱歌「ふるさと」の一節を引用。国賠訴訟熊本地裁の判決で支援者らが歌った歌詞であり、鳥取県が建立した「ハンセン病強制隔離への反省と誓いの碑」(とりぎん文化会館正面玄関前)にも「いつの日にか帰らん」と刻まれています。長島愛生園訪問で、残念ながらお会いすることはできませんでしたが、本の中で「遺言のつもりで書き残しておこう」と思い、筆を執ったそうです。そこには、「今、書き残さないと、歴史を知る人が消えてしまう」という思いが込められているような気がします。本書では、ハンセン病の告知からこれまでの自らの半生を国内外の動きに重ねる形で紹介され、帰りたくても帰れない入所者たちの望郷の思いが込められています。国の過酷なハンセン病隔離政策の中でどのように生きてきたか、強く結びついた親子や家族との絆など、とても読みやすい文章で書かれています。新書「島のやまびこ~若者たちはどう受け止めたか~」も出版されました。二度と同じ過ちを繰り返さないために、多くの方に読んでいただければと思います。 |