今月のいちおし!! 2011年9月

生きづらい母親たちへ
アダルトチルドレン、依存症のヘルプグループ

編 ママネット
発行 解放出版社社 (1,600円+税)




田中澄代

 

 児童虐待5万件超・・・大阪市で昨年7月に幼児2人がマンションに置き去りにされて食事も与えられず亡くなったという痛ましい事件は記憶から消し去ることができない。その後も続く児童虐待事件。法的な手だてはあるのに、学校や医療機関、警察、児童相談所などの連携がないまま最悪の結果をみることもある。地域ぐるみの子育て支援など少しでも彼女たちの気持ちが救えるなら、虐待を未然に防ぐことも不可能ではない。

 人間関係の困難やストレスの多い環境にいることから、何かにのめりこんで紛らわそうとするアディクションの症状。時間はかかっても、自分の現在の生きづらさが、育った家庭に起因することを認め、自分の生育歴の意味を再編成していくことによって、自分の心の奥底に正直になっていける。それは決して一人ではできない。アダルトチルドレン、依存症のセルフヘルプ・グループは、傷をなめあうのではなく、お互いが一緒に歩みながら、回復していける場所。さまざまな事情を抱え、今まで誰にも話すことが出来なかった自分の体験や気持ちを抱えた生きづらい母親たちが、少しづつ語れるようになり、自分の人生を自分の手に取り戻していく彼女たちの正直な気持ちが綴られている。

 持ちきれない荷物は一人で抱えなくていい、改めてそう感じることができた。

 

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