新しい年をおだやかに迎えられたこととおもいます。年が変わればなにかいいことがありそうなそんな期待をこめて。それがあたり前の私たちは幸せです。今も世界の多くの場所に紛争があります。愛する者を奪われた悲しみは新たな憎しみを生み、憎しみは暴力へ、暴力は戦争へ、悲しい連鎖が続いています。難民キャンプで生まれ育ち、キャンプしか知らない子どもたち。常に戦禍に晒されている子どもたち。そんな子どもたちの一人、アハメド君。平和を願い、いつか難民キャンプを出て広い世界を見て歩きたいという夢を持ち続けていた12歳のアハメドくんが狙撃兵の銃弾に倒れます。殺された息子の臓器を、殺した国の病気の子どもたちへ。命は救われました。自分の息子が殺された。「にもかかわらず」殺した国の病気の子どもたちを助けた父親。命のバトンタッチ。命と一緒に息子の夢も引き継がれていくでしょう。悲しみや憎しみからは幸せは生まれない、武力では何も変えられない。平和な世界を築くという息子からもらった宿題を果たすために武器に頼らない戦いは続いていきます。 昨年は東日本大震災、台風、大雨等、たくさんの大切な命が失われました。その同じ日にこの世に生を受けた命もあります。命のリレー。色々な困難が街中にあふれています。「今、困難のただ中にある人たちが絶望の中で希望を見つけ、前を向いて生きていくきっかけに、この本がなれたらいいな」と著者の鎌田さん。この絵本が平和のバトン、やさしさのバトンとなって世界中のみんなに繋がっていきますように。 |