過疎で潰れそうな集落、そこで農業による村おこしが始まる。見事に廃村脱却。全くのフィクションではあるけれど、身近にありそうな集落の設定と出来事に親近感を覚える。有機農業、減農薬野菜、観光農園、産地直送等、現在各地で行われている農業振興策のなんでもありに、まんが、インターネットが加わって。中山間地に育ち農業の現状を見聞きしている身としては、夢のような話、こんなにうまくいくはずがないと思いながらもついつい読み進んでいく。夢と希望が湧いてくる物語です。農業のプロと経営のプロ、インターネットのプロ、漫画のプロ、村にずっと住み続けている人、外から入ってきた人が一つの目標にむかってつながりそしてまとまっていく。ある場所ではじき出された色々な個性が、無意識のうちの溶け込み居心地のいい自分の居場所としてそこに収まっている。無理をせず自然のままに。地震、台風、大雨、暴風、大雪、最近では竜巻等自然の猛威を嫌というほど思い知らされる昨今、自然を相手の農業が事業として軌道に乗るには大変だろうとは十分想像できるが、それでも、偉大な自然に抵抗するのではなく、自然と共に自然のなすがままに行う農業が、生業として成り立ち暮らして行ける。そんな希望を持たせる物語です。「自然と共に、自然のままに」そういう価値観を大切にしたい。読んでいて楽しくなる本です。 |