今月のいちおし!3月

「思い込みにとらわれない生き方」

著者 坂東眞理子
発行 ポプラ社 1,540円




田中富治

 この本は、アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)についての内容です。思い込みが起こる要因の一つは「狭い経験による決めつけ」であるとして、それがエスカレートしてしまうと偏見や差別にまで発展し、それは自分自身にも跳ね返ってくる。また日本は多数派に従った方が楽だという志向が強く、この同調圧力がより強いアンコンシャス・バイアスを生んでいると説明されています。

 そして様々な例示がなされていますが、私が子どもの頃から「当たり前」と思っていたことも多く、育った環境や家族構成でも違い、また社会によって形成される無意識の思い込みもあり、時代が変わってもすぐにはなくならないものだと実感しています。

ではどうしたら思い込みにとらわれない生き方ができるのかについては、例えば様々な経験を増すことや本を読むこと、好き嫌いで決めつけず「やわらかい知性」で受け入れることなど、そのヒントが丁寧に説明してあります。

そして、アンコンシャス・バイアスが自分自身の中にあることを認めていくことから始めていくことが必要であり、「誰かにとっての当たり前」は、誰にとっても当たり前のことではないことを認識することが社会を変える一歩になるとまとめられています。

今社会は大きな変化を迎えており、新聞やメディアで報道されているLGBTQや夫婦別姓の問題、夫婦間における役割分担の問題など、多様な価値観を認めることが求められています。そんな社会に適応していくためにも、今一度皆さんがご自身のアンコンシャス・バイアスについて見つめ直して見られませんか。そのきっかけになる一冊だと思います。

 

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