今月のいちおし!!2015年3月

カラフルなぼくら

著者 スーザン・クークリン
訳者 浅尾敦則
発行 ポプラ社 1,500円+税




田中澄代

 性は男と女だけに限ったものではないと理解はしていたものの、6人のインタビューの印象は様々。生まれたときに分けられた性別を超えて、自分の本当の性で生きるという生き方にとても強い自己肯定を感じる人もいるが、すべてがそうではない。一人ひとりが「自分自身であること」のために精神的にも肉体的にもはかりしれない苦難を乗り越えて生きている。
 20人に1人がLGBTと言われるこの時代に、自分の「性」と向き合い、自分らしい生き方に踏み出していく6人のティーンが語る、LGBTの心と体の遍歴。
 カミングアウトするかしないか…それはあくまでも本人の自由だと思う。しかしそれをためらわなければならない環境におかれているトランスジェンダーが多いことが覗える。当事者は、完璧に理解してもらうことを望んでいるわけではなく、段階的に変わっていく様子に理解する努力を望んでいるのかもしれない。
 既に性的志向による差別をなくすための研修会を開くなどの動きも徐々に広がっているが、米国のようにあらゆる性に対してオープンな流れが日本にも影響し、性的マイノリティをとりくまく環境の改善につながっていけばと思う。

 

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