今月のいちおし!4月

CODA あいのうた

2021年制作 112分
GAGA配給




福壽みどり

  気にはなっていたものの、なんとなくすぐに観ることができずにいた作品。

CODAというのは、Children of Deaf Adultsの頭文字をとったもので、聴覚に障害のある人の子どもを意味する。この映画では、まさにCODAが主人公となっている。

耳の聞こえない両親・兄と暮らす女子高校生。父親と兄の仕事は漁師で、彼女は毎朝登校前に船に乗る(万一のため船には健聴者が必ず1人以上乗っていなくてはならない)。ほかの人との交渉が聞こえないのをいいことに、兄は仲買人にいつも安く魚を買いたたかれている。でも、映画の中で、この家族は、健聴者との関係の中でもちろんつらい場面はあるものの、基本的に普通に暮らす人々だ。意味深で印象的だったのは、兄の「お前が生まれるまでは幸せだった」というセリフ。

聴覚障害者の役を聴覚障害者が演じているので、当たり前だが違和感がない。感動的な演出が多々あり、また主人公に歌の才能があるという設定は、なんとなく胸に「もやもや」を残す。才能のある人を真ん中に据えないと、やっぱり映画にならないのかなー。ちなみにCODAは音楽記号でもあります。

 

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