今年は、1965年に同和対策審議会答申が出されてから50年にあたる。この機会に各地で「『同対審』答申50年」にからめた企画が催され、当センターでも「『同対審』答申の意義と部落問題の今について考える」というテーマで部落問題研究部会を開催している。 本書は、「同対審」答申が出された経緯と5つにまとめられた論点、答申が現在の私たちに問いかけていること、それに加えて、「同対審」答申が出されて以降の同和行政を総括し、同和対策事業なきあとの同和行政の基本姿勢を明示したものとして大きな意味を持つ「地対協」意見具申の全文も掲載されている。 奥田さんからは、実は「同対審」答申について、多くの人がその内容を知らないことに危機感をいだいています。学校の同和教育・人権教育担当者や行政の人権担当の人でさえ、「同対審」答申そのものを知らない人がとても多くなっています。また、答申を知っているという人でも、部分的であったり、あるいは単なる昔の文書として理解していることがあります。そこには、現在でも輝きを失っていない部落問題を初めとする人権について考えていくための原則(基礎基本)がしっかりと書き込まれていることが忘れられています。と本書とともに送られた手紙に添えていただいた。本書の最後では、「『同対審』答申は私たちに、部落問題の解決に対する本気度を、今も問いかけています」とも述べられている。 “50年”というのは一つの区切りでしかないが、この機会に改めて「同対審」答申を考える機会としたい。 |