今月のいちおし!2016年2月

ケアのカリスマたち
看取りを支えるプロフェッショナル

著者 上野千鶴子
発行 亜紀書房 1,600円+税




福壽みどり

 ケアっていろいろな場面で使う言葉。体の病気に対するケアもあれば、精神的なケアが必要な時もある。髪の毛やお肌の手入れもケア。
 ケアについて調べてみると、インターネット上の辞書weblioに、こんな解説があった。ヨーロッパ的なヒューマニティがケアの精神の基本。診断や治療といった医学的な部分に加えて社会の相互扶助的なものも含まれる。福沢諭吉は、「学問のすすめ」(第14編)の中でケアの概念を「世話の字に二つの意味あり。一つは保護の義なり、一つは命令(あるいは指図)の義なり…。世話の字に保護と指図の両様の義を備えて人の世話をするときは“真のよき世話”にて世の中は円く治まるべし。…ただ一方にのみ偏して義を尽くすことなく、もって大なる間違いに及びたるなり」と。つまり、“人の苦悩に対する世話”(ケア)とは、1.「その人のことを大切に思ってのcare」(=保護)と2.「その人に良かれと思ってのcare」(=指図)の両面がある。とのこと。たしかに、「あなたのためを思って」していることが私にもよくあるが、それが相手にとって大きなお世話、重荷にすらなっていることもあるだろうことは容易に想像できる。でも、してしまう。
 この本には、「真によき世話」に値するものを提供しようと日々実践している日本全国の取り組みが描かれている。

 

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