父母を反面教師として自分自身をつくり上げたという作者の、愛情はあったであろうが理解し合えなかった、父、母、兄への想いと関係、そして自身の家族や、今の世の中の家族関係についてが綴られています。 私よりも一世代上であろう作者の時代、今とは全然違う価値観の中で、こうであらねばならないという家族関係の枠のようなものがあったのだと思う。 家族を亡くして、もっといろいろ聞いておけばよかった、知っておけばよかったとおもうことがあるかもしれない。しかし、生まれてから死ぬまで家族として過ごすその場で、自分で見て、聞いて、触れ合ったことが全てであり、その時の状況がその時の本当の家族の姿であると思うし、知らされなかった、聞かされなかった事は知らなくていいと思う。そのときはわからなくてもその時の状況や相手の心情は、そういう事だったのかと後になってから分かってくることもあるから。 家族の一員ではあるけれど、一人の個人でもある。家族の煩わしさから解放され一人になりほっとする気持ちもある。でもそれは家族がいるという安心感があるから。信頼し支えあえる家族があることは幸せなことだと思う。 この本をきっかけに、「家族とは何か」を考えてみるのもいいかもしれません。「家族とは」無条件なものだと思います。 |