センター職員の今月のいちおし!4月号

Todo: Add Content...

親子で考える「がん」予習ノート

著者 一石英一郎
発行 角川新書 900円+税




田川朋博

20数年前、祖父ががんと宣告された。当時、県外で暮らしていたためにお見舞いに行くこともできず、あっという間に亡くなってしまった。

 当時も今も、がんは「怖い病気」という認識は変わらない。でも、周りを見回してみると、がんになったけれども元気で暮らしているという人はたくさんいる。改めて考えてみると、「がんは怖い」というだけで、どんな病気であるかということをほとんど知らなかった。

 本書によると、がんの60%は治る時代となっているという。ヒトの体の中には毎日無数のがん細胞が生まれているというのも初めて知った。余命宣告の意味や抗がん剤治療とは何なのかなども誤解している部分が多くあった。

 がんの正体は徐々に明らかになっていて、かつての「不治の病」「特別な病気」「怖い病気」から、今は、糖尿病や高血圧と同じ「持病」へと変わりつつあるという。つまり、がんを抱えながらどう生きていくのかという時代になっている。がんとともに生きていくためには、患者となる人やその家族に、そのための心構えが必要だ。

 今年度から、小学校でがんの授業が始まる。本書を読んでも「怖い病気」という認識は変わらないが、「何が怖いのか」というのは少し理解できたと思う。40歳以上は「がん年齢」だという。自分がそうなった時に必要以上に悲嘆しないように、また、20数年前の後悔を繰り返さないために、正しく知っておく努力はしておくべきだと感じた。

機関紙「ライツ」見出しへ戻る