センター職員の今月のいちおし!

「弱者の居場所がない社会」―貧困・格差と社会的包摂


著者 阿部 彩
発行 講談社 740円+税




小谷 繁喜

 私は、この本を読むまで「包摂」という言葉をあまり聞いたことがありませんでした。辞書を引くと「一定の範囲の中に包み込むこと」とあります。
 社会は、人と他者がつながり、お互いの存在価値を認め合い、そこにいることが当然であると認められた場所であり、これが「包摂される」ということです。
 社会に包摂されるということは、ただ単に衣食住やその他の生活水準の保障のためだけに大切なのではなく、包摂されること自体が人間にとってとても重要なことです。が、社会に包摂されないで排除されている状況は、「十分に食べられない」というような絶対的貧困に比べて、その問題性がぼやけて感じられるのではないかと思います。
 これは、日本社会に「社会的包摂」の仕組みが不十分だという問題があることの裏返しではないかと思います。

 

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