湯浅さんが「貧困」という言葉を使い始めたのは、2006年からだった。「当事者が嫌がるのではないか」と思いながらも使おうと思ったのは、「「いないこと」にされるほど、つらいことはない」という思いからだったという。「あるのか、ないのか」ということを経て、現在では「どうするのか」ということがテーマになっている。 そして、「子どもの貧困」である。子どもの貧困率は、2015年の段階で13.9%。7人に1人の割合となる。そのような現状に対して、まさに、「どうするのか」という思いで、子ども食堂などの取り組みが全国各地で進められている。 「なんとかしてくれ」でも「なんともならない」でもなく、「なんとかする」というタイトルには、私自身の意志とともに、大きな課題にもできるところから着手する実践家の態度への敬意を込めている。 セレブの住む町で子ども食堂に取り組む人、「子どもの貧困対策をするつもりはない」と言う対策先進市の市長、「夏休み、体重の減る子がいる」と気づき取り組みを始めた小学校の校長…。本書には、「なんとかする」という意志を持って子どもの貧困対策に取り組んでいる人やその思いが紹介されている。 何もしないでは始まらない。みずから動き出すことこそが1ミリでも前に進めることができる、そんな思いを新たにした。 |