実際に、自分に「わが子」という存在ができてわかったことがある。それまで、虐待のニュースを見るたびに、「そんなことなら産まなきゃいいのに」とか、「わが子にそんなことするなんて信じられない」と思っていた。わかったのは、自分も紙一重の存在であるということだ。 この本では、1年以上事件が発覚しなかった「下田市嬰児連続殺害事件」、「足立区ウサギ用ケージ監禁虐待死事件」、そして、「厚木市幼児餓死白骨化事件」の3つの事件の背景を追っている。彼ら親たちが、そろって口にするのは、“子どもへのゆるぎない愛情”。そして、「愛していたけど、殺してしまいました」という言葉。「愛し方」。誰もが生まれながらに、誰にも教わらなくても身につけている気がしていたけれど、「愛情」も、やはり教わったようにしか表現できないものなのかもしれない。 「わが子のため」という思いが、突き詰めれば「自分のため」、「自分に都合がいいように」になってはいないだろうか。人を育てていくって難しいものだと、あらためて思った1冊です。 テーマはまったくちがいますが、著者の石井光太さんが、12月に鳥取に来られます。そのときは、みなさまも、ぜひお集まりください! |