今月のいちおし!!2017年3月

憲法という希望

著者 木村草太
発行 講談社現代新書 760円+税




田川朋博

 昨年9月、「人権のつどい2016」で講演していただいた大阪国際大学准教授で国際人権法が専門の谷口真由美さんが話されていたことに、“まずは知憲”ということがあったと思う。そこで、本書である。
 憲法とは何か?著者の木村草太さんは、“過去に国家がしてかした失敗のリスト”といわれている。その失敗とは、「無謀な戦争」「人権侵害」「権力の独裁」の3つである。この3大失敗をふまえて、無謀な戦争をしないために軍事力をコントロールしよう、人権侵害を防ぐために大事な権利をあらかじめ示しておこう、独裁にならないように権力を分立したり民主的にコントロールしたりしよう、と憲法はつくられたという。そう考えると、なるほど“憲法は権力を縛るもの”だなと思う。
 
 憲法は「よりよい社会にしたい」という国民一人ひとりの希望から形作られるものです。そうした希望を実現するために、憲法をより身近なものと感じて、憲法に関心を持ち、一人ひとりが憲法を「使いこなす」という思いを持っていただけたらと思います。

 憲法を使いこなせるかどうかということは、まさに憲法を知っているかということに関わってくる。本書では、憲法に具体的にどういうことが書かれているかということとあわせて、沖縄の基地問題や夫婦別姓の問題など、憲法から読み解いていくとどうなるのかということも書かれている。
 今年は、日本国憲法施行70年。自分の生活と憲法がどのように関わっているのか、改めて考えるよい機会になったと思う。

 

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