今月のいちおし!3月 New!

わたしのおそろい

著者 菊田まりこ
発行 白泉社 1,100円(税込)




田中澄代

 小さな絵本。文字はとても少なく、余白が多い分だけ自分の経験が入り込み想像が膨らむ。絵と余白は読む人の年齢や状況によって受け取る意味は変わり、正解はない。自分色に想いをめぐらせながら読めるのもいい。
 ペンダントを外したミーコが、泣いている猫の女の子にやさしく声をかける。泣いていたのはミーコを仲間外れにしていた6匹のうちの1匹。ターゲットが変わるリアルな仲間はずれを見聞きした経験をもつ大人たちは、どんな想いをめぐらせるのだろう。
 誰かとそろっていることが同じなのではなく、比べなくてもいいこと、完璧にそろってなくても今ここにいる自分でいいという感覚を差し出してくれる。所有ではなく関係がそろうという視点にも気づかせてくれた。
 お揃いのペンダントから始まり、最後は誰かと気持ちが重なり、同じ空間にいること、沈黙を共有することという関係性のそろいへと移っていく。たりないものを探すことから、すでにあるものに気づくことに視点を戻してくれる。

 

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