私たちはどんな状況であることを、貧困としているのだろう。果たしてそれは本当に貧困なのか。貧困に定義があるのだろうか。考えてみると、貧困という言葉は簡単に使っていたけれど、意味を考えてみたことはなかった。ただ何の定義もないまま、上から目線で貧しい人をつくり出していたのかもしれない。
題名に魅かれて軽い気持ちで手にした「どんとこい、貧困!」。読めば読むほど実はすごく深くて、難しいことに気づいていく。
私たちは、一人ひとりが健康で文化的な最低限度の生活が保障される権利がある。貧困は社会問題であり無関心は貧困をつくり出す。誰もが幸せになるために、「許すこと許さないことを含め、大変さ、苦しさ、つらさを抱えている人たちに、おせっかいと思われても、常に関心を持ち続けることができる社会」でなければならない。それが著者の言う“溜め”を少しずつでも大きくしていくことなのだろう。答えは見つからないが、まず自分自身の“溜め”度を測って、私の“溜め”を知っておきたいと思う。