最近、年を重ねて人の「死」と対面する機会が多くなったせいか、ふと書店でこの本の題名が目に止まりました。
この物語は、主人公の医師が「呼び出し状」を受けて検察庁へ出向く場面から始まります。呼び出された理由は、担当患者を「安楽死」させた疑いを患者の家族から告発されたためでした。
18年にも渡り治療を続ける間に、医師と患者は固い絆で結ばれてゆき、やがて患者は医師に「最期の時は長引かせないでほしい…」と訴えます。医師はその願いを受け入れますが、患者の「最期」は想像していたよりはるかに過酷なものでした。
「リビングウィル」という言葉があります。直訳すると「生前の意思」という意味ですが、人生の最期を考えておくことは、どう生きるかにつながっているように思えるのです。
この物語をどう捉えるかは読み手によって変わってくると思います。しかし、自分がこの医師なら、患者ならば、どう感じ、どう行動するかを想像してみることで、自分のなかの「死生観」を見つめることができるかもしれません。是非読んでみてください。