ソファの背もたれのような所からこちらを覗く、可愛い猫の表紙とタイトルに魅かれて、思わず手に取りました。「超」がつく猫好きな私としては、世界から猫が消えたら困るなあ…と。
読んでみると、タイトルから想像する内容とは少し違い、ある日体調が悪くて行った病院のドクターからいきなり余命宣告をされた主人公が、奇妙な一週間を過ごす、という、一見猫とは関係なさそうなお話。でも、「その日」から自分そっくりのアロハシャツを着たファンキーな悪魔が現れて、「この世界から何か一つを消せば、あなたの寿命は一日延びるよ」と告げます。
そして、アロハの悪魔はこうも言いました。「何かを得るためには、何かを失わなければならないんすよ」。なるほど、とは思うものの、これは究極の選択。主人公は、愛猫を含め「世界から消す物」について散々思い悩み、最後には一つの結論にたどり着きますが、それは別の人ならばまた違う結論を出すのでしょうか。
読み進むにつれ、まるで映画を見ているように情景が目の前に浮かび、引き込まれるように一気に読んでしまいました。
著者は『電車男』や『おおかみこどもの雨と雪』などを製作された映画プロデューサーとのこと。
納得…でした。