朝、ラジオを聴いていると著者自身が本の紹介をしていました。どら焼き店の従業員として高齢の女性を雇ったが、ある噂が立ち、「ハンセン病…」等の言葉が聞こえて来ます。1996年に「らい予防法」は廃止され、病気は完治しているにも関わらず普通に社会生活を送ることができない、まだ続く偏見・差別。著者自身もハンセン病のことはよく知らなかったと話していました。
何十年の間、家族や社会と隔離され人権を奪われて生きてきた70歳を過ぎた徳江と、生きる気力を失いかけたどら焼き屋の店長、そして中学生の少女が織り成す心の交流。特に何という事件もなく普通の日常生活が淡々とストーリーとして過ぎていく。
「だれにも生まれてきた意味がある」人はこの世を見るために、聞くために生まれてきた。この世はただそれだけを望んでいた。という徳江。その人の感じ方で、そら、風、音を、自然を感じる。感じ方は人それぞれ。それぞれの世界がある。それが生まれてきた意味。
全体にほんわかした優しさが漂っています。作者の気持ちでしょうか…