長いゴールデンウィークも終わりに近づき余韻に浸っていた夕方、父の入院の知らせを受けた。昼間までの姿が一変した父を見た瞬間、薄情かもしれないがマイナスなことばかりが脳裏を過る。この先自分が父の介護を背負うことになるのか…。 ミステリー小説だがリアルに描かれた介護をめぐる世界。読み進めていくと、介護制度や介護に追い詰められていく人々に「ロスト・ケア」が救いのように思えてしまうこともある。介護に直面していない人にはミステリーだが、まさに今の自分に重なるところに大きく頷き、時には首を傾げる。 ふと我に返ると、元気で自由気ままだった父が病院のベッドで静かに横たわり、不自由な体をよじらせ顔をしかめている姿が目に浮かぶ。生活のリズムが変わり疲れが出始めていても、父の素直な言葉に救われることがある。ゆっくりかかわることがなかった父との時間を幸せに感じることもある。私はどの立場にいるのだろう。誰のために介護をしているのだろう。正解なんてないけれど、その時その時で気持ちが揺れる。様々な想いを巡らせながら、今日もまた一日が過ぎる。 |