「本当は、世界はこんなに広いのに、僕らはこの高校を世界のように感じて過ごしている。」 「くだらないかもしれないけど、女子にとってグループは世界だ。目立つグループに入れば、目立つ男子とも仲良くなれるし、様々な場面でみじめな思いをしなくてすむ。」
作中のこんな言葉が、先月、人権とっとり講座で講師をしていただいた松永真純さんから紹介された。この言葉を聞いたとき、少しドキリとした。学生時代、もしかして自分たちも同じような感覚を持っていたのではないかと思ったからだ。 テレビのドラマなどでも、たびたび取り上げられるようになった「スクールカースト」という言葉。クラスメートがそれぞれランク付けされ、それをインドの伝統的な身分制度になぞらえて「カースト」、さらに学校特有のものだから「スクールカースト」。 自分は誰より「上」で誰より「下」か、誰と仲良くすると得で誰と仲良くすると損なのか。作中の登場人物たちはそんな計算をしながら、学校という「世界」を生きていく。学校以外にも「世界」はある、そう言いたいのだけれども、今の社会も本質的には何も変わらないのではないか、そんな気がした。 |