今月のいちおし!!2013年12月

子どもに「ホームレス」をどう伝えるか

著者 生田武志、北村年子
編  ホームレス問題の授業づくり全国ネット
発行 太郎次郎社エディタス 1,200円+税




田川朋博

ホームレスの問題がメディアなどによって社会的な大きな問題として取り上げられはじめたのは、2008年の終わりから2009年にかけて日比谷公園で年越し派遣村が開設された頃からではなかったかと思う。 当センターでも、人権とっとり講座の講師として、当時年越し派遣村の村長をされた湯浅誠さん、そしてこの本の著者、生田武志さんと北村年子さんにもお越しいただいてお話を聞いた。
 この本は、生田さん、北村さんの講演を下に再構成されている。だから、当時のお二人の講演を思い出しながら読み進めることができた。なぜホームレスになってしまうのか、なぜホームレスから抜け出せないのか、そして、なぜ子どもたちがホームレスの人たちを襲撃してしまうような事件が起こってしまうのかなど、分かりやすく解説されている。
 鳥取に住んでいると、ホームレスの問題はなかなか身近な問題とは思えないかもしれない。しかし、この本の生田さんの解説を読むと、誰にでもホームレスの状態に陥ってしまう可能性があり、そこから抜け出すことがいかに難しいということがわかる。いじめの問題、差別の問題にもつながるホームレスの問題について、学びなおす良い機会になった。

 

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