「助けてと言えた日が助かった日だったよ」 北九州でホームレス支援を続ける著者。 冒頭の言葉は、60歳まで建築屋の寮で働いていたが、60歳を過ぎたから辞めてくれと言われてクビになった元野宿者の男性の言葉である。自分が倒れて病院に運ばれて、様々な人のあたたかさに触れ、「自分で頑張るしかない」と思っていたが、自分にも助けてくれる人がいると気づいたのだという。 いまの社会は「自己責任論」が蔓延っている。著者も述べているが、確かに「自己責任」は大事なことかもしれない。誰にとっても自分の人生は自分で決めていいはずなのだから。しかし、今の社会が「自己責任」を問える社会とは到底思えない。そしてこの状況が奪ってしまったもの、言葉が「助けて」なのだという。 様々なホームレス支援を通して、感じてこられた話がでてきます。78ページと決して多くないボリュームの中に、考えさせられることがたくさん出てきます。 身近に「助けて」と言える人がいるか。人から「助けて」と言われる人なのだろうか。と、考えてしまいます。 |