今月のいちおし!!2014年10月

うちの火星人
5人全員発達障がいの家族を守るための“取扱説明書”

著者 平岡禎之
発行 光文社 750円+税




田中 澄代

 妻、長女、長男、次女、次男。著者以外の家族全員が発達障害で、できて当たり前なことができない子どもたちに、声を荒らげ手を上げることもあり、叱られた子どもたちは、フリーズしたりソワソワしたりしてしまう。それを見ては、さらに大きな声で怒鳴りつけたりもしていた。
 ずっと自分が困らされていると思っていた彼は、自分の行動が子どもたちを苦しめ傷つけていただけで、本当に困っていたのは子どもたち自身だったこと、普通にすることを苦手とするが、環境さえ整えば個性的な素晴らしい力を発揮できることに気づいていく。
 “発達凸凹な私の家族は、できて当たり前のことを毎日継続してやっていくことが、なかなか身に付きません。これは学校や職場でとても誤解を受けやすい症状。でも、強く叱ったりすると逆効果で、本人の焦りや緊張を増長し、ますますミスが増えてしまう悪循環となります。”…と。
 相手を何とかしようとせず、目の前のこの人たち一人ひとりの気持ちに耳を傾けて、お互い納得できる方法を見つけていきながら、息苦しさから解放されていったのではないだろうか。子どもたち4人が生き生きとし、それぞれの個性が一層色鮮やかに輝きだしていることを感じられるようになった彼の、自分自身が変わっていく生き方の学ぶところがあると思う。

 

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