16.3%…この数字を今年度いく度か目にした。すっかり見慣れてしまったという人もいるかもしれない。6人に1人、…そう言いかえればより身近に感じるのだろうか。子どもの6人に1人が貧困状態にあると言えば、どうだろうか。 貧困の当事者である子ども、その親、そして支援者にインタビューをおこない、子どもの貧困の実態に迫っている本書は、私たちが普段目にしている、いわゆるデータからだけでは理解しがたい問題の深刻さや、その根の深さを感じることができる。 子どもの貧困と言っても、その実態を想像することは正直容易ではない。例えば、本書に出てくる小学生の少年は、小学6年生の2学期のはじめから、中学2年生の1学期の終わりまで学校に通えていない。この間車上生活を強いられていたのだという。食事は一日一食という生活を送っていた。本書には登場しないが、学校でいじめにあっても給食を食べるために我慢して通う子どもがいること。想像する子どもの貧困とこの実態がどれだけ一致しているのだろうかと考える。 筆者が取材の中で感じた『子どもの貧困を見えにくくしてきたのは、私たち大人ではないか」という思い。この思いを理解することからはじめてみたい。 |