今月のいちおし!!2010年9月

これからの「正義」の話をしよう
今を生き延びるための哲学

著者 マイケル・サンデル
訳   鬼澤 忍
発行 早川書房 2,300円+税




福壽みどり

 

「正義」って、なんだかちょっぴりうさんくさい。「正義」って、普遍??これからの「正義」って、これまでと変わるの?!

 この本には、私を惑わすさまざまな問いかけがひそんでいる。そして、立場を変えて考えると、大いに揺れる私に気づく。

 経済は需要と供給のバランスなんだから、ハリケーン後の生活必需品の価格が上昇しても、本来問題ないといえるか。サブプライムローン問題で、多くの公的資金を投入されている企業の幹部に100万ドル以上のボーナスが払われることをどう思うか。1人を殺せば、5人が助かる状況があったとすれば、あなたは1人を殺せるか?1人の命は地球より重いというのに…手塚治虫の漫画『火の鳥』が、「人を殺した罪はいっしょです」と言ったのを、どこかで聞いたのを思い出した。

 生きるって、なかなかややこしいなと思いつつ、でも、どこかにみんなが幸せになれる方法があるのではと夢見つつ、まずは「もう自分の好き勝手にしなさい」と怒った顔を見て、あわててラジオ体操に走った息子に、笑顔でお帰りを言ったのが正解だったか、私にとって正しいことはなんなのか、日常の小さな問題から解決していくとしよう。

 

 

 

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