今月のいちおし!!2015年10月

なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白

著者 東小雪
発行 講談社 1,200円+税




田中美貴枝

 「LGBT」という文字をよく目にするようになりました。当センターでも機関紙「架橋」33号の特集「LGBTを生きるということ」で、いろいろな立場の人に寄稿していただき、当事者一人ひとりで、それぞれ困りごと、生きづらさ等が違うことも知りました。
 東さんは、生まれたときに医師が判断した身体が女性で、自分のことを女性だと思っていて、女性を好きになる人で、ディズニーシーで同性結婚式を挙げられた人です。その当時、マスコミ等でも取り上げられ大きな反響を呼びましたが、ディズニーシーへ問い合わせをした当初は、異性カップルに見える服装なら大丈夫、同性同士に見える服装では一般の来場者への影響を考えると…ということで、すぐには良い返事がもらえなかったそうです。
 なぜなのか。東さんへの質問によくあるとされる「どちらが男役でどちらが女役ですか」に通じ、男らしさ、女らしさを知らず知らずのうちに世間が求めていることに通じます。自身の「生きる力」を取り戻すために、自分自身を「なかったこと」にしないために、壮絶な過去を書かれた本ではありますが、「私の告白が、生きづらさを抱えるあなたの胸にも届いたらうれしい」そして「性暴力を受けた人も受けない人も、異性愛者も同性愛者も、ありのままの自分を肯定して生きていけるようになればいいと心から願う」と書いています。
 12月に開催する「人権フォーラム2015」講演会の講師として、この本の著者の東小雪さんに来ていただきます。ぜひご参加ください。
  
 
日時:12月5日(土)14時30分から  場所:県民ふれあい会館ホール

 

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